SDGsで持続可能な社会へ。
こどもを健康的に育てるために「ウッド・チェンジ」をおすすめします。
現在、子供たちを取り巻く生活環境の変化を背景として、心とからだの両面にかかわるさまざまな健康課題が生じています。ストレスによる心身不調などメンタルヘルスにかかわる課題(表①)やぜんそく、アトピー、食物アレルギー、視力の低下など多くの問題に対して解決が求められています。
私たちは「木の家」「部屋に木をつかうこと」「木とふれあうこと」を通して子供たちの健康課題やお母さんたちの不安を解決していきたいと考えています。
子どもたちはいろいろなストレスによって心の健康をそこなうようになってきました。
こちらは学校の先生に対するアンケートです。子どもが色々なストレスを抱え、また対応する時間もなかなか確保できていないという状況です。
表①
(心の健康つくり推進委員会(財団法人日本学校保健会)「心の健康つくりに関する調査」平成16年度)
また、こちらはアトピーにかかっている子どもの割合(学校保険統計調査より)となります。この10年で少しづつ減っていたのですが、最近小さい子どものアトピーがまた増えています。
こちらはぜんそくにかかっている子どもの割合(学校保健統計調査)です。2010年ごろをピークに少し落ち着いていますが、依然として予断を許さない状況です。
こちらは年々視力が落ちていく子どもたち(学校保健統計調査より)の割合を示したものです。現在では高校生の時点で6割以上の子どもが視力1.0以下となっています。
家の中に生息するヤケヒョウヒダニなどのチリダニ類,並びに,それらのフンや死骸は,アトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー性疾患を引き起こすことが知られています。ダニが原因となるアレルギー性疾患を防ぐためには,家の中のダニ数を減少させ,ダニと接触する機会を減らすことが重要です。しかし,化学薬剤を用いた防除は,人に対して悪影響が懸念されます。そこで,天然物である木材の成分を利用したダニ防除に注目が集まっています。
木材の香り物質の効果
木材には数パーセントの精油が含まれており,これらの物質が木材に樹種固有の香りを与えています。この木材の香り物質にダニの動きを抑える働きがあることが最近の研究で明らかになってきました。ここでは,木材の香り物質がダニと接触する場合と接触しない場合の行動抑制効果について調べた結果を紹介します。
木材チップを用いたダニの行動抑制
針葉樹(ヒバ,ヒノキ)と広葉樹(ミズナラ,ケヤキ)のチップを用いて,それらから揮発する香り物質のヤケヒョウヒダニに対する行動抑制効果を調べました。
まず、ダニをチップに直接触れることがないように通気穴のある容器に入れ,その容器をチップ上に置き,チップから揮発する香り物質のダニ行動抑制効果を調べました。木材チップを用いずに同様の実験(対照)を行い,それらの結果を比較しました。
右図に示すように,ヒバ材,ヒノキ材の場合,72時間後には動いているダニは見られませんでした。精油を多く含み生物活性作用が強いといわれるヒバやヒノキなどの針葉樹材は強い行動抑制効果を持つことが分かりました。一方,ミズナラ材,ケヤキ材では行動抑制効果が見られず,樹種によって効果に差があることが分かりました。
このように、木材には子どもたちの健康・暮らしをよい方向に向かわせる効果があります。
私たちは単に「木造住宅」というだけではなく、部屋の中にムクの板を貼ったりすることをお勧めします。
家の中が、子どもたちの心も体も落ち着き勉強や好きなことに集中出来る、健やかに育つ空間であることを祈ってやみません。