【コラム】第9回 箸の雑学 ~もっと楽しくなる、誰かに教えたくなる、箸文化の奥深さ ~
公開日: : コラム
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最近4歳の孫が、車は「台」、鉛筆は「本」と助数詞を覚え始め、「靴は一足と数えるのよ」と教えたところ孫は「お靴は、2個あるから、二足だね」と・・・組物を説明するのは難しく、墓穴を掘ってしまいました。
箸も組物ですので2本揃った状態で「一膳」、1本だけの時は「一本」と言います。
先日上野動物園で生まれたパンダの双子の赤ちゃん、テレビ局により「二匹」と「二頭」と違っていました。蝉は、羽がついているのに「匹」と数え、抜け殻は「個」、日本語は難しいですね。
ネットで調べてみると、助数詞は5000ほどあるようです。【数え方単位辞典】
https://www.sanabo.com/kazoekata/
箸の数え方について
お箸は、使用用途により助数詞が「本」「膳」「組」「揃い」「具」というように変わります。
食事をするための箸は、「膳」、調理をするための菜箸や火箸などは、道具になりますので、「組」「揃い」「具」と言います。
【助数詞の変化】
現在の二本に分かれたお箸は、飛鳥時代に遣隋使として派遣された小野妹子らが中国から持ち帰ったとされていますが、中国で箸のようにセットの物を数える助数詞は、「双」「対」「副」が用いられ、日本に伝わってきた当時は、文献によると「双」で数えていたようです。平安時代には、「双」の他に「具」の数え方もあったようです。
平安時代末期には、箸を「前」と日本独特の助詞数が現れ、鎌倉時代には「前」が主流となりました。
「前」の考え方は、元々は神の御座所を「前」と呼んでいましたが、次第に神そのものを表す助詞数となり、「前」は神社に祀られる主神以外の神を数える際に使われるようになり、天皇や高貴な方を指す「御前」という言葉になりました。また、神事・仏事に供えられる食饌(しょくせん)についても「前」で数えられるようになり、神事に使われる箸についても同様に「前」で数えられ、食事に使う箸も「前」で数えられるようになりました。
中国では箸独自の数え方が発達せず、二本セットを意味する「双」「対」「副」で数えられ、日本でも当初は中国の用例に倣っていたようですが、平安時代末期から鎌倉時代にかけて「前」で数えるようになりました。
その後、室町時代にかけて、日本の料理は大きく進歩し、精進料理の影響を受けつつ、平安貴族の式正料理も受け継ぎ、武士の間で本膳料理が形成されました。
本膳料理は、本膳、二の膳、三の膳とそれぞれ膳と呼ばれる脚付きの台に料理と箸が並べられることから、箸も「膳」と数えるようになりました。これは、日本独自の数え方です。
箸は膳で数えるのがいわゆる「正しい日本語」ではありますが、最近は「本」「組」など、二本セットを意味する一般的な数詞で数える若者も多くなっているようです。
先日、コンビニのレジで前の方がお弁当を買われ、店員さんは「お箸は何本お入れしますか?」と、お客さんは即座に「一本でいいです」と答えていました。私は、違和感を感じながらもこのような会話は、何度も聞いています。
割り箸は、割る前は一本と数えても良いと書かれた書物もありますが、食事をするための箸は、「膳」と数えると次世代へ伝えていきたいと思います。
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