【コラム】『行動』 何かを変える一歩
公開日: : コラム
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2017年夏に宮城県石巻市中心部と牡鹿半島でリボーンアートフェスティバルというアート・音楽・食が複合したイベントが51日間に渡り開催されました。石巻は東京からJR線で約3時間程の海沿いの地域です。石巻から車を走らせること1時間程の牡鹿半島は読んで字のごとく、島の至るところに鹿が生息しています。地元の方曰く、道路にひょこんと飛び出してくることもしょっちゅうらしく鹿との共存が島の課題のひとつだそうです。
人との出会いが人生を動かす
このイベントの総合プロデューサーを務めたのが小林武史さん。小林さんをご存知の方も多いはずです。私も好きなアーティストのひとりであるミスターチルドレン。閉ざされたドアの向こうに新しいなにかが待っている・・・終わりなき旅の歌詞ですが今も色褪せない名曲です。プロデュースをしていたのが小林武史さん。どのようなイベントになるのか期待に胸が躍ります。
2011年東日本大震災があり、宮城県の沿岸部は甚大な被害でした。もうすぐ震災から10年の節目を迎えようとしています。建物が元通りになることが復興かと言われればそうではなく、亡くなった方々は戻ってこない。改めて復興とは何かを考えさせられます。
2017年の石巻も震災の爪痕がまだまだ残っていました。石巻の街を一望できる市内随一の景勝地である日和山公園から見た景色が印象的でした。長い石段を息を切らし汗を噴き出しながら上った先に見えたものは建設途中の道路や建物、土地がぽっかり空いているところ。津波で残った建物と建て替え後の真新しい建物が共存する街はどこか異質に感じました。失った悲しみもあり、前に進もうという前向きな思いも感じ取れ喉の奥で何かがつっかえたような感覚を味わいました。複雑な思いを抱えながら街中のアートに触れるなかで、生きていること生かされていることへの感謝が自然と込み上げてきました。
今回のリボーンアートフェスティバルへ足を運ぼうと思った目的は「食」です。
いや、正確には人かもしれません。ある方の演出する空間と料理に興味を持ちました。週末を中心に東北や日本全国からシェフが駆けつけ振る舞うリボーンアートダイニングでフードディレクターを担った目黒浩敬さん。目黒さんは仙台市から南へ25の川崎町でファットリア・アル・フィオーレでブドウを栽培し、ワインの醸造を手掛けています。会場の牡鹿ビレッジへは足元がぬかるみ泥だらけになる山道を30分程歩きます。ようやく辿り着いた先のメインダイニングではスタッフの柔らかい笑顔と流れるBankBandのtoUが迎えてくれました。浜辺からは大阪府生まれの彫刻家kohei nawaさんの巨大な白鹿の作品が見え、心地良い潮風とともに色とりどりの鮮やかなお料理が次々と運ばれてきます。地元の素材を使い、石巻を感じることができ大満足の時間を過ごすことができました。
自分の心も喜ばせよう
食事を終えて、目黒さんとお話しをする機会がありました。「自分の好きなことだけ、だからね」どうしてこんなにも心地良い空間なのかという私の問いへの答えです。この一言に心が揺さぶられました。目黒さんとの出会いをきっかけに、後に度々アル・フィオーレに足を運ぶようになりました。目黒さんから伝わる自然を愛する心やシンプルな生き方は私が生活するなかで多大な影響を受けています。また、随分と世界も広がったような気がします。好きなことを通じて繋がるご縁も多く人生が充実したものとなりました。もちろん、添加物が一切入らない体に良い自然派の美味しいワインがあってこそです。
好きなことを仕事にしようとスタートしましたが、初めの頃は正解が何かがわからず戸惑い悩むことも多かったです。何かを変えようとか、変わろうとか思うことは当たり前かもしれません。これじゃダメだって否定しながら新しい自分に生まれ変わろうとしながらもがいて苦しんで。心の落としどころってなかなか見つからなくて探し続けてみたり。出口が見えないときってありますよね。ただ、そんなときにこそ「心が喜ぶこと」に目を向けることが必要かもしれません。
そんなさなかに出会った目黒さん。自分の好きなことだけという一言は全ては自分の心のなかにつまっているんだよ、と言っているような気がしました。問題の解決の仕方っていろいろあるけれど、好きなことに子どものようにのめり込むことも良い。好きなことをしているときって笑顔も出るし時間を忘れるくらい楽しい。きっと魂も喜んでいるんです。あなたの好きなことはなんですか?もっと好きなことをしましょう。どんどんしていきましょう。きっとより良く豊かな人生になるはずです。
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