【コラム】第4回 箸育「教え方」にはコツがある ~ Part.1トレーニング編~ まずはバランスの良い身体づくりから
公開日: : コラム
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現在の日本は、和服を日常に着なくなり、伝統的な“純日本式”の生活スタイルが欧米化するとともに、掃除や洗濯などに便利な家電製品の普及で家事が楽になりました。それに伴い、様々な作業に要する時間が短縮されて、自由に使える時間が増えたのではないでしょうか。
便利や自由が手に入った半面、古き良き文化が消えていくのが少し寂しい気がします。障子の桟のお掃除は、はたきかけや雑巾しぼりではなく、掃除機やウェットタイプのペーパーで使い捨て。水道の蛇口やドアノブなどはコック式になり“手首を回す動作”が少なくなりました。また、スマホやゲーム機の使用時には下を向いた状態が長くなり、身体を動かす機会も少なく、背中が丸くなっている方が多いようです。
簡易化された作業や乱れた生活が姿勢を崩しています。バランスの悪い姿勢は日常生活の中に色々な支障をきたすことがあります。
お箸の持ち方を教える前に
指先の細かな動きが良くできないと、『お箸』も正しく持つことができません。お子さんにお箸の持ち方を教える前に、まずは正しい姿勢が身についているかどうかを確認してみましょう。バランスの良い身体は年齢に関係なく大切なことですので、ご家族みんなで見直してみましょう。
『正しい姿勢』とは、“地に足の裏がしっかりと着いて、背筋がピンと伸びて、手は自然と太ももの横に来る。くるぶしと耳の位置が真っすぐ一直線になっている”、このような姿です。
≪練習方法≫
まず、壁の前に背を向けて立ち、そのままゆっくり後ろに下がり、かかと・お尻・後頭部を壁につけます。次に、その姿勢をキープしたまま一歩前に出て壁から離れます。その状態が正しい姿勢です。ちょっと辛い箇所がある方は悪い姿勢が癖になっているかもしれません。一日何回か、「疲れた」と感じた時に、この方法で姿勢をリセットしてみてください。お子様の集中力が切れた時にも効果が期待できます。また、地に足がついた状態で硬めの椅子に腰を下ろすように座ると、理想の『着席』の姿になります。背もたれにはもたれないことが正しい姿勢をキープするコツです。
手首の回転について
日常生活の中で手首を回す動作や手を真上に上げる動作が減ったことの影響か、筋力がなく鉛筆やお箸が正しく持てない方が多いようです。そのような方は、指先の動きを練習する前に、まず、腕を真上に上げる事から始めます。(わきの下の筋肉が凝っている可能性があります。)腕が耳に着くくらいのイメージでゆっくり伸ばします。無理なく心地良いところまでで良いです。毎日少しずつ変化していきますので無理は禁物です。くれぐれも焦らないように。
そして次は手首です。
手のひらを上、下に返すように動かします。この時、腕は動かさず、手首だけを動かすことがポイントです。手のひらを上にするほう(回外)が少しきついと感じる方が多いです。回外は上腕二頭筋を使い、肩を固定するイメージで。
※回外はドアノブ・蛇口・ドライバーなどを使うときの動きで、回内より強い力を発揮することができます。
片足立ち
人の身体は左右のバランスが重要です。片足立ちして10秒(小さいお子さんは5秒くらい)静止できるか、左右どちらも確認してみてください。できない場合、または片方だけ揺れる場合は体幹の筋力が弱っています。壁に手を当ててバランスをとる練習をしてみましょう。この時体重が後ろにかかり過ぎないように注意して下さい。
(一人の時は鏡を見ながら行うと、できているかどうかがわかりやすいです)
バランス良い身体の重要性
『お箸を正しく持つ』というキーワードから準備体操が出てくるなんて…と意外に感じ、驚かれた方もいらっしゃることでしょう。食事は全身運動であり、筋肉は生活するのに欠かせないものです。筋肉を丁寧に動かす事だけで、脳を活性化させたり怪我を防いだりすることにもつながりますので、ご紹介した軽いストレッチを、是非、生活の中に取り入れてみてください。
ミコト先生のガチャガチャ体操
https://youtu.be/jnLh5kUC5nU
ライタープロフィール
NPO法人 みんなのお箸プロジェクト専任講師 阿倍光寿
自分を変えたいと思っている方々に『人生をより良くする食べ方』を伝授している、高校野球をこよなく愛する栄養士。
多岐にわたる栄養指導の中から、クライアントのパワーを引き出すためには、乱れた味覚を見直すことが重要と気づき、『口』に注目した。本来の賢い舌を取り戻すための方法【美味メソッド】を考案。食材の効果的な食べ方を知り、無理ない食生活を実施、継続すれば、身体と心が変わると実感している。栄養の基礎を重点にわかりやすく教えながら、次世代に日本の伝統的な『食』を残そうと活動している。
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