【コラム】木材を選ぶ時のポイント
公開日: : コラム
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前回のコラムで人気の木材をピックアップしました。これまでのコラムを読んで頂いた方の中には、より木に興味をお持ちになられた方や、木製家具を作ってみようかな?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、木材は種類も多く、どれを選んだらいいのかわからない!となってしまう方も多いはず。また、オーダー家具や空間を創る場合、プロと相談しながら進めるのは良いけど、100%任せきりにしたくないという方もいると思います。
そこで今回は数多くある木材の中から木材を選ぶ際のポイントをまとめました。
想いに沿った木材選び
KIJINでは、オーダー家具や空間を手がける際にオーナー様の想いを丁寧に伺っていきます。その想いを抽出する作業が木材選びのスタートなのです。オーナー様の「想い・理念・コンセプト」を、大切にしたい場所にデザインとして落とし込む。「想い」と「空間・家具」を結びつけ形にしていくことが、愛され続ける家具を創るポイントです。
例えば、こちらのテーブルとチェアー。
「癒し」をコンセプトに作成した家具です。新たにオープンされるサロンへ来て頂くお客様に、少しでも多くの癒しを提供し、心も身体もリラックスして欲しい。そのような想いからナラ材で創らせて頂いたテーブル。
ナラと聞くと、ワインやウィスキーの樽に使用されるイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、どんぐりの木としても有名です。
ナラにはどんぐりを求め野生の動物が集まります。たくさん葉を落とす広葉樹なので、その落ち葉が豊かな土壌を作り、土壌から川へ豊富な養分が流れ出します。そして川に住む生き物にも影響を与えるほどの木で、「全ての生き物が集まる木」なのです。このことから森の王様と呼ばれることもあります。ナラは生命を創造していると言っても過言ではなく、全てを包み込むような存在感と、素朴感は「癒し」というコンセプトにぴったりです。
こちらのスツールも素敵な想いが込められています。
新居を構えられたオーナー様が、来客の方々を最初におもてなしする場所にもこだわりのモノを置きたいと考えていらっしゃいました。お招きした方々全員が玄関で楽に靴を脱ぎ履きできるように、そして何より、これから少しずつ老いていってしまうご両親のために。
「両親に末長く気兼ねなく家に来て欲しい」そのような優しさと気遣いが宿っているスツールです。
この素敵な想いから創るスツールには、木の特徴である経年変化を一番感じられるチェリー材を使用し、使い込むほど味が出るスツールに。歳を重ねて肉体的には老いてしまいますが、人としての味は増されていくご両親への尊敬の念も重ねてお選び頂きました。
※写真の左が作成直後、右が2年経過した際の色味です。このように時間が経つと雰囲気も徐々に変化していくので、「使い込むほど風合いを増す」最高の木材と称されており、飽きの来ない木材となっています。
人生で過ぎ行く時間への想いと、チェリー材の経年変化が綺麗に重なり合った素敵な木材の選び方ではないでしょうか。
意外と知られていない木言葉
皆さん一度は耳にしたことのある「花言葉」。“赤いバラ”には「愛情、情熱」、“ユリ”には「純粋、無垢」など、その花の特質に基づく意味を含ませ表現した言葉です。花言葉と同じように、実は木にも木言葉があるのをご存知でしょうか?
日本で一番生植している“スギ”には「雄大、君のために生きる」という意味があります。“イチョウ”には「しとやか、長寿」、“サクラ”には「精神美、優れた美人」と言ったように素敵な木言葉がたくさんあるのです。
「長寿」「健康」「幸運」という木言葉を持つケヤキを使い、「家族に健康で幸せに長生きして欲しい」と思いを込めて創られた家具があったとしたら、大切にしていきたいと思える気がしてきますよね。
このように、ご自身の家具を作成される想いと、木言葉の意味を照らし合わせて木材を選ぶことで、家具がより大切なパートナーになります。
木材の特徴で選ぶ
木に想いを込めると、完成した家具にも命が吹き込まれるように感じます。KIJINでは「想いを空間に結う」というビジョンがあるように、その家具や空間にストーリーをデザインすることを大切にしていますが、木の特徴を活かした木材選びも忘れてはなりません。
木は大きく分けると針葉樹と広葉樹に分けられます。針葉樹を「ソフトウッド」、広葉樹を「ハードウッド」と言われているように、それぞれ特徴や性質が異なります。
例えば針葉樹のスギ、ヒノキ、パインなどは柔らかく軽量で加工しやすいという特徴を持っています。基本的に縦に真っ直ぐ育つので、住宅を建てる際の柱や梁に使われることが多いですし、軽いのでインテリア雑貨や小さな家具などにも使われます。柔らかく肌触りもいいので、子供用の家具には最適です。
また、ナラ、ケヤキ、ウォールナットなどの広葉樹は、硬く重く、強度があり傷付きにくいという特徴を持っています。本棚や収納棚など、重いものを置きたい場合や長く使っていきたい家具などには、耐久性があり傷が付きにくい広葉樹がオススメです。
ヒノキ風呂を例に出してみます。ヒノキの特徴のひとつとして特有の香りがあるのですが、他の木と違うところは、加工後もその香りを長く放ち続けるという点です。その香りにはリラックス効果を促す成分が含まれており、私たちのストレスを軽減してくれる働きをもっています。また、ヒノキは針葉樹の中でも特に水や湿気に強く、抗菌効果も優れています。ヒノキの素材を最大限に活かす加工品として、お風呂の浴槽はとても相性がいいのです。
まとめ
木材選びに正解はありません。もちろん、木々の特性に合った加工をするのは大事なのですが、一番は大切なのはお使いになる方がその家具を長く大切に使い続けられるかどうかだと思っています。色味や香り、肌触りなど、使用者ご自身の気分が上がるような木材をぜひ選択してみてください。その上で、どのような想いで家具を作成するのか、選択した木材の特性は合っているのかなど、専門家と相談しながら創り上げていくのがいいのではないでしょうか。
いよいよ次回のコラムが最終回となります。過去のコラムを振り返りながら、改めて木の良さや、生活に木を取り入れることで得られることなど書いてみようと思います。次回もお楽しみに!
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