【コラム】「瞑想」暮らしの中のヨガ① 心の在り処を見つける
公開日: : コラム
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突然ですが、あなたはオバケを信じますか?
または、幽霊と言ったら良いのかわかりませんが。
私が小学生の頃に「地獄先生ぬ〜べ〜」という漫画が流行りました。鬼の手を持つ霊能小学校教師が児童を守るために、妖怪や悪霊を退治する学園コメディです。当時、このぬ〜べ〜にえらく入れ込んでいた友人がいました。話をすれば、二言目にはぬ〜べ〜がかっこ良くてたまらない!といった調子です。ジャニーズが好きだと言う子も入れば漫画のキャラクターが好きだと言う子もいて、子どもながらにいろいろな人間の趣味嗜好があるなと思いました。
真実はすべて自分の心の中に
授業が終わり放課後になると私たちは体育館でよく遊んでいました。すると突然、ぬ〜べ〜女子が無言で天井のほうを指さして何かを追うようにその指を走らせるのです。周りはざわつき出します。どうした、どうした。一体何があったんだ、と。そこでその子が一言「あそこにいる・・・」
その瞬間に大きな叫び声とともに騒ぎ出す私たち。週に何回か繰り返されるこの小さな劇。何カ月か続いた頃にある子が私に言いました、「本当に見えて指さしているのかな。」見える子が真実を言っているか問題が浮上です。
昔、体育館があった場所はお墓だったとか、理科室の奥にある人体模型は夜に動き出すとか、学校の七不思議も誰かが言っていたしなぁ。さて私たちは何を信じたら良いのか。真実とは一体何なのか。
オバケでなくとも、見守ってくれているご先祖様など目に見えない存在があります。
実在するかと言えば不確かで、わからない。では、一体どのようなもので、形で、どのように私たちに影響してくるのか。そう考えて知ろうとすることはどこか瞑想に近しいところがあります。見えないもの、わからないものを知ろうとすることは人間として生まれ持った資質かもしれません。
哲学者アリストテレスは「すべての人間は生まれながらにして知ることを欲する」と言っていますが、これが真理ではないでしょうか。人間の遺伝子に組み込まれた本能です。そう考えていくと、真実は全て自分の心のなかに在るのです。オバケもご先祖様も見えない存在は心のなかに存在するのです。ぬ〜べ〜女子を信じるのも信じないのも自分次第であって、天井を指さしてオバケの存在を周りに知らせることは、さほど問題ではないのです。
激変する時代の中で心の住処を整える
瞑想と辞書を引くと、「目を閉じて静かに考えること」と出てきます。瞑想は肩肘張って、よしやろうと行うものではないような気がします。暮らしのなかの瞑想とは目の前のことに向き合うことだと私は思います。私たちは日々の暮らしのなかですでに瞑想を行っているのです。そのなかでも意図的に瞑想を行う場合は、環境と姿勢を整えることがポイントです。
ひとり静かに落ち着く場所で胡座(難しい場合は長座)になり、お尻の下の仙骨から頭上まで背筋がピンと伸びるようにします。肩の力抜きゆっくりと鼻から吸い、2倍の長さで鼻から吐く。静かに呼吸を繰り返していきます。アラームで5分間など時間を決めて行うと良いです。さぁ、終わったあとに何を感じるのか。体験した人にしかわからない世界がそこには待っていることでしょう。
数か月前のことですが、夜のニュース番組を見ていると、都内で行われた暗闇ワークショップ体験の模様が放送されていました。ダイアログ・イン・ザ・ダークと言い、照度ゼロの暗闇空間で視覚以外の感覚を使って日常生活を体験するものです。アテンドするのは視覚障害者であるスタッフで、ダイバーシティを体感できるものとなっているそうです。
番組のキャスターが実際に体験している映像を見ていると、見えない不安に怯えながら恐る恐る行動されていました。真っ暗の何も見えない状態で椅子に座ることも、会話をすることも、何かを工作することも決して簡単なことではありません。恐怖が隣り合わせにあることは決して居心地が良いとは言えません。暗闇の中を1時間程体験した後にキャスターが感じた感情はどのようなものだと思いますか?最後に感じた感情は安心感だと話していました。不安や恐怖の先にあるのは安心感、です。
この数か月で世界はがらりと変わりこれまでの価値観を覆されました。見えない未来は、どこかダイアログ・イン・ザ・ダークの世界と似ています。見えないからこそ不安や恐怖が押し寄せてくる。私たちは気づかぬうちに安心感を求めているのかもしれません。だからこそ、瞑想の境地は悟りに繋がるのだと思います。心の在り処も大切ですが、住処を整えることもまた大切なことでしょうね。
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