【コラム】日本における木の歴史

公開日: : 最終更新日:2020/06/01 コラム

   

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木の歴史は人類が誕生するはるか昔から始まりました。

人類の祖先が誕生したのは約700万年前。そして木は恐竜時代の約2億年以上も前からこの地球に存在していたとされています。

木は太古より世界中様々な地域に根を生やし、生命を育み、地球そのものを支えてきたのです。

そして、ヨーロッパの「石の文化」に対して、日本の「木の文化」と言われるように、日本では人々と木が密接に繋がり、切り離せない生活の一部として共に歩んできました。

しかし、日本人にとって木は当たり前に存在するものであり、身近すぎる故にその存在価値を実感する方は多くありません。

今回のコラムでは、日本人が木とどのような歴史を共に歩んできたのかに迫ってみたいと思います。

縄文時代から木づかいが上手だった?!

歴史を遡ってみると、日本人が木を利用し始めたのは約6500年前の縄文時代とされており、各遺跡から沢山の木が発掘されています。

昔の日本人は不思議なことに木を熟知しており、縄文時代から木の性質をうまく利用して使い分けをしていたのです。

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例えば木を切る斧には堅いヤブツバキ、弓には堅くてしなるカシ、器には削りやすいトチ、などなど、用途によって加工されていました。

その中でもスギ材が一番多く発掘されています。

木の種類は他にもあったのですが、なぜスギばかりだったのか?一番の理由は杉が非常に割りやすい材質だったためと言われています。大昔には大きなものを運べる機械や道具が当然ありません。そのため、森で木を切り出したあと小さく割って運んでいたようです。

様々な種類の木の中から、切り出しやすい木材を試行錯誤しながら選び抜き、用材としての木と日本人の文化が始まったのでしょう。

ヨーロッパのように石材文化に足を踏み入れず、木の文化を独自に発達させたのは、杉の割りやすい性質が大きく影響していたからではないでしょうか。

神様と木

日本は古代から稲作などの農耕を中心とし、自然と共に生きてきました。その中で自然の恵みや、自然災害を通し、自然の中に神を感じてきました。

古来より、日本人の感性として、滝や岩や山など、自然のひとつひとつに神様は宿るとし、八百万の神と呼ばれるような自然崇拝の文化が根付いていったのです。日本人にとって馴染み深い神社でも、その多くの境内に「御神木」が祀られています。

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昔の日本人は、神道の自然崇拝の中で木には神様が宿ると考えました。

そのため、木を神格化し、木を崇めるものとして尊ばれてきたのです。

こういった文化が根強く残っているのは世界を探しても日本くらいで、一神教の多い海外の人からすると、御神木自体が珍しいものであると言います。

クリスマスツリーのモミの木は御神木と同じ意味を持つものとして存在していたとされていますが、現代では御神木という意味合いの概念は残っていないそうです。

こんなものも昔は木製だった?!

木で作られたモノを想像するとき、どのようなモノをイメージするでしょうか?住宅やテーブル、椅子などをイメージする方が多いと思います。他にどのような用途で使われていたのでしょうか?

一番代表的なモノは寺社仏閣です。特に607年に建立された法隆寺は現存する最古の木造建築として1993年に世界遺産に登録されました。1400年以上も前に建立された法隆寺ですが、法隆寺の大黒柱には樹齢2000年を超える木が使われました。

1885年にはドイツ人のゴットリープ・ダイムラーが4ストロークのエンジンを開発し、木製の二輪車にエンジンを載せて走らせ、アメリカでは、スプルースグースという世界最大級の飛行機も作成されました。飛行実験では海面をわずかに浮き上がっただけだそうですが、現在もアメリカのエバーグリーン航空博物館に展示されてあります。

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今では考えられませんが、車や飛行機まで木製で作られた歴史があるのです。

また、木曽ヒノキで有名な木曽の地域では、年貢を米の代わりに材木で納めているほど、重要なモノとして扱われていました。

これから創られる新たな木の未来

木で作られた車や飛行機があると述べましたが、2019年に東京モーターショーで環境省が出展したある車が注目を集めました。

京都大学が開発に携わった、「木でできたスーパーカー」です。

このスーパーカーのフレームはなんと木でできています。とは言っても、木材をそのまま使ったわけではないのですが、木を使った新素材でできており、その強度は鉄の5倍、軽さは5分の1とされています。

環境にも優しく、コストも下げられるとわかり、現在さらなる研究開発が進んでいます。

今改めて木の存在に注目されており、このような科学技術との融合により、新しい木の歴史が作られていくかもしれません。木そのものの素材を活かした家具や建造物はもちろんですが、車や飛行機、ロボットに至るまで、さらに深く木と関わる未来がやってくるかもしれませんね。

 

次回の第3回のコラムでは「日本における木の文化」について、日本人はどのような形で木と共に歩み、どのような文化を築いてきたのか、歴史を紐解きながらもう少し深く木について書いてみたいと思います。

 

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株式会社KIJIN代表取締役社長。明治大学を卒業後、株式会社山善で量産品家具商品部を経験後、独立。オーダーメイド家具屋KIJINを設立。 「居場所づくり」に特化し、家具ひとつひとつにお客様の想いを入れるストーリーデザインを行い個人宅家具、オフィス家具、店舗家具、空間のコンセプト作りからデザイン、施工まで一貫して行う空間トータルプロデュースも行っています。 オーダー家具HP オフィスリノベーションHP

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