住宅営業の誕生
こんにちは。暦の上では立秋を過ぎてますが今日時点ではまだまだ真夏日ですね。
現在、住宅営業の新人さん用の本を書いているのですが、住宅営業って職業はいつからあるんだろう?と疑問がわきました。昔はおそらく地域の棟梁が相談を受けて建てる、という形式がほとんどだったと思うんですね。はじめはいわゆる「ハウスメーカー」が生まれてからかな、と思ったんですが、それよりも前に小林一三の沿線開発とかがあったのでその頃からかなとちょっと調べてみました。
モデルルームの誕生
…おそらく個人として住宅専門のコーディネーターみたいな人はきっと古代からいたんでしょうが、やっぱり職業として確立していなかったと思うんですね。そうすると一般向けにモデルハウスみたいなものが出来たのはいつだろう?と思いました。モデルハウスがあれば案内する人がいて販売する人がいるんじゃないでしょうか!ということで出てきたのは・・・
1922年(大正11年)※戦前です。今から約100年前ですね。世界史的に言うと第1次世界大戦が終ってベルサイユ条約が結ばれたころです。
上野で開かれた平和東京博覧会で14棟の「文化住宅」のモデルハウスが建てられました。
今でもけっこう通用しそうなデザインではないですか!
ちょうど同じ頃に渋沢栄一さんらが欧米の田園都市宅地開発を念頭に洗足や田園調布を開発し始めたところでしたので、土地を購入したいという人が多数押し寄せたそうです。ただこれには裏話があって、当初の経営陣は経営が上手でなく、既に関西で成功していた小林一三さんに助けを求めたのだそうです。始めは固辞していた小林さんですが「月に一度なら」の約束で名前を出さず無報酬で手伝っていたのですが、役員がぜんぜん動いてくれないのに業を煮やして五島慶太さんを専務取締役として推挙したんですね。おりしも関東大震災があって爆発的に分譲地が売れたそうです。
そのときのパンフレットがこちら
売り文句をみるといまも昔も変わらないですね(笑)
・文化生活の滋味を望まるる方は田園都市へお住み下さい!
・田園郊外の趣味を享楽し併せて文明の施設を応用できる地は他にありません!
・機会は今です!何はともあれまず現地へ!
ちなみに小林一三さんが現在の阪急電鉄で沿線開発して、売り出しに成功したのはそれまでなかった「割賦販売」を始めたからといわれていますね。つまり土地代金の分割支払いということになります。それまでは一括支払いでしか買えなかったのが割賦販売がはじまって普通の庶民でもなんとかなるようになったんだそうです。
ただ、この頃はあくまで土地分譲だったので不動産屋の営業であって住宅営業という感じではなかったでしょうね。
やはり、職業としての注文住宅の住宅営業となると、戦後の住宅ラッシュにおける住宅メーカーの勃興を待たねばならなかったようです。
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