現場の人手不足解消策について
今日も年間700棟の住宅を施工する中規模ビルダーさんと
打合せをしてきたのですが、このところ話題になるのは
現場の「人材不足」です。
営業職もそうですが、施工現場は大丈夫だろうか?
という懸念はある程度大きい建築会社ではどこでも抱えている
問題という気がします。
最近の産経新聞WEBのSankei Biz の記事を参考にしながら解説したいと思います。
現状の職人さんの数について
記事によれば
「ピーク時の1980年には93万7000人いた大工が
15年時点では6割減の37万2000人となった。
それでも対応できてきた理由の一つが、
柱や梁(はり)などの部材を工場であらかじめ加工する
プレカットが主流になり、
現場での作業負荷が減ったためだ。
しかし、これから多くの高齢大工がリタイアする。
全国建設労働組合総連合(全建総連)の推計によると、
30年にはわずか20万人程度になる可能性もあるだけに
抜本的な対策は待ったなしだ。」とのこと
もちろんプレカットの恩恵は良し悪しを別にして
工期の短縮には役立っていると思います。
ただ、対応できた理由としてそれよりも大きいのは
着工件数の激減 だと思います。
最盛期には160万戸あった住宅現場が現在では100万戸を切っている状況です。
単純に考えても6割に減っているわけで
大工さんが4割になったところでそれほど大変でもなかったと思います。
ただ、そろそろ団塊の世代が本格的に引退するので
やばいかもといったところでしょう。
解決策は?
1.工場での施工部分を増やし現場施工を減らす。(プレハブ化推進)
2.若手職人の育成
3.福利厚生の拡充で人材確保
ということで記事が紹介するのは
まずセキスイハイムの擁するプレハブ工場のロボット化です。
ご存知のように同社の住宅は壁とか窓とかがくっついた状態で工場から
出荷されて現場で組み立てて、外部⇒内部と現場仕上げをしていきます。
『ファナックのロボットが溶接を行い、安川電機のロボットが部材を搬送する-。
まるで自動車工場のようなラインが住宅の工場に導入されている。
積水化学の鉄骨系住宅を生産する、セキスイハイム工業近畿事業所(奈良市)だ。
同事業所はセキスイハイムの全国8工場の一つ。
同住宅では、6面体のユニットを建築現場で積み重ねて完成させる工法を
取り入れており、同事業所では年間1500棟分のユニットを生産、
近畿一円に供給している。
工場ではトイレやキッチンなどをあらかじめユニットに取り付けておく。
このため現場での作業工程は少なくて済み、施工日数は40~50日と他の工法に比べ短いのが売り物だ。
(中略)
積水化学は14年から工場のリニューアル工事に踏み切った。
近畿事業所では10億円を投資して15年10月に完了。
多品種対応型溶接ロボットをはじめとして計15台の大型ロボットを導入することで、
生産の集約化を図った。これにより空いたスペースを活用。
浴室カウンターや水栓の取り付け、安全対策の一環として設置する仮の手すりなど、
現場で対応していた作業を工場内で行うようにした。
クロスを貼ったり部材を取り付けたりするなど、建築現場での作業工程数は
100に上っていた。
工場での集約化に伴い、80台半ばまで引き下げることに成功したが、
小原光雅・常務近畿事業所長の言葉を借りると「まだまだ道半ば」。
大工不足がさらに深刻化することを見据え、70を目指す。』
…もちろん、お客様が求めるものが何かが大事なわけで
それが手作りなのかロボットが作るものなのかはお客様が決めるんですよね。
そして、「それで構わない」という人が増えれば仕方ないことですが
ちょっと寂しい部分もありますね。
だからこそ、地域の工務店さんは
「なぜ手作りがよいのか」
「なぜ自然素材がよいのか」
「しかも省エネで暮らしやすい家ができる」
ということをきちんと分かりやすくお客さまに説明できないと
いけないですよね。
次に出てくるのが住友林業さんの職人さん育成学校です。
『住友林業建築技術専門校(千葉県四街道市)では、
住友林業グループの技能職(大工)だけでなく、
15年度からは全国の協力工務店に入社した社員にも訓練を行っている。
受け入れも数年前に比べて30人多い70人体制を構築。
これまで1100人以上を輩出していることもあって現場での人員面は確保している。』
とのこと。
これは地域の工務店さんでもJBNの「大工育成塾」なんかがありますよね。
最後に福利厚生の拡充というところですが、ここでは
大和ハウスでの「完全休工日」などについて紹介してます。
『働き方改革も現場で広まりつつある。
大和ハウスは4月から新規に着工する現場に、完全な休養日に当たる「休工日」を導入。
原則、土日と連続して休めるようにして、2021年4月には完全週休2日とする方針だ。
積水ハウスは施工現場での女性監督の登用に力を入れる。』
とのこと。
…職人さんといえば、まとまった休みは「盆、暮れ、正月(ただし七草まで)」
というのが多いわけですが、今の時代それでは家庭がゆるさないですよね。
良い試みではないでしょうか。現場の材料搬入とかでスケジュールの無駄をなくせば
できそうな気がしますよね。
まとめ
どんな方法にしろ、職人という仕事が
「誇りある」
「収入もそこそこある」
「働いていて家族が喜ぶ」
という環境を作ることが
職業として残すことには大事ではないでしょうか。
記事 コミュニティビルダー協会理事 浄法寺
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