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林野庁による九州豪雨での流木災害調査

公開日: : 工務店, 社会

コミュニティビルダー協会ブログ

林野庁による九州豪雨での流木災害調査について

この7月に多くの命を奪った、今回の豪雨。
その被害を拡大したのが『流木』でした。

推定では、なんと福岡県だけで少なくとも20万トン、50メートルプール144杯分に相当する量です。
この流木は、救助や復旧活動の阻げになっています。

20170718_02

現地の被害者によると

「(流木が)水をせきとめて違う所に流れるから、予想もしなかったところにいく。
“まさかうちが”って皆さん思っていた。」

 

今回の流木災害については

「人工林だから弱くて流れた」

といった意見もある一方、

「人工林かどうかはほぼ関係ない」

という意見もありました。

「水害発生の原因は多すぎた雨量と花崗岩質の崩れやすい地質にある」

とあったり

「スギやヒノキの人工林は根が浅くて崩れやすい」

「森林整備の遅れが土砂崩れを引き起こした」

等々。

 

今回の林野庁の調査はこれらの意見に対して

「本当はどうなのか?」

をある程度明らかにしてくれました。

 

調査結果

1.調査者

国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所
林野庁
九州森林管理局
福岡県
大分県

2.調査した場所

福岡県朝倉市・東峰村、大分県日田市

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3.調査結果概要

【山腹崩壊等について】
(1)調査を行った朝倉市及び東峰村では、小規模な山腹崩壊が多数発生しており、日田市では、比較的規模の大きい山腹崩壊が発生していた。

(2)調査を行った地域の地質は、変成岩、安山岩、凝灰岩など多様であり、特定の地質で崩壊が発生していると言えるものではなかった

(3)調査を行った箇所は、豪雨により地下に浸透した水が集まりやすい凹地形で山腹崩壊が発生しており、その崩壊土砂の流出により渓流が荒廃していた。

(4)調査を行った箇所において、山腹崩壊が発生した森林と発生していない森林があったが、間伐等施業実施の有無による崩壊発生の関連は確認できなかった

(5)崩壊地上部斜面等に根が露出している立木を調査したところ、根系の深さは約1~2m程度であり、地質条件に応じた深さまで成長していた。また、崩壊は表層崩壊が多かった。

(6)調査を行った崩壊箇所では、作業道や土場等は確認できず、作業道等が原因となり崩壊が発生したものは確認できなかった。

(7)山腹崩壊に伴い、一部治山施設の損壊が認められたが、崩壊土砂・流木の捕捉が確認されており、下流への被害軽減効果があったと認められた。

 つまり、地質による差があったわけではなく、あまりに水量が多かったので

 水の集まる場所から崩れた。

 また、間伐していたかどうかの関連性は確認できなかった。

 地質による限界まで根は伸びていた=杉やひのきだから根が浅くて倒れた

 わけではない。

ということですね。

 

【流木について】

(1)山腹崩壊地直下の渓流に残存している流木は根付きであったことから、流木は、立木が崩壊土砂とともに流下したものと認められる。

(2)渓流内に堆積している流木は根付きの状態のものがほとんどであり、幹は折損しているものも多数あった。なお、林内で伐採されたと考えられる樹木も存在していたが、ごく一部であった。

(3)山腹崩壊地内及び崩壊地直下に残存している倒木もあるものの、崩壊面積から推定すると一部にとどまっており、大半は、洪水により崩壊土砂とともに下流域へ広範囲に流下したと推察される。

【まとめ】

今回、調査した結果、山腹崩壊等が発生した箇所は、崩壊していない箇所と比較した場合、森林の状態(樹種、林齢、間伐の有無)による関連は確認できなかった。

このことからも記録的な豪雨による特定の箇所に集中した雨水が要因となり、森林の有する土砂崩壊防止機能や土砂流出防止機能の限界を超え、山腹崩壊等が発生したものと考えられ、雨水及び地形・地質による要因が大きいものと推察される。

なお、今回の調査は、一部の山腹崩壊箇所を抽出して実施したものであり、今後、学識経験者等の意見を聴きつつ、必要に応じて追加調査を行う予定である。とのこと。

 

…今回の調査は7/19~7/21までの3日間という限られた時間の中でのものですから、全てを鵜呑みには出来ないかもしれません。

ただ、この調査結果からすれば、山林うんぬんよりも流された流木がひとところに溜まらないようにする工夫のほうが大事に思えます。

 

NHKでは、この対策として

・橋げたが多く危険な橋は改修する

20170718_11

※上流の橋げたを回収した橋では流木が溜まることはありませんでした。

 

・『砂防堰(えん)堤』によって発生源を抑える

・『貯木池(ちょぼくち)』を作って流木を人為的に補足する。

 

今回の調査では間伐うんぬんは関連性が見られないとのことでしたが、

間伐がおこなわれなければ山は『緑の砂漠』となり雨がそのまま流れてしまいます。

「緑の砂漠」の画像検索結果

土砂じたいが流れないようにすることも大切ですが、やはり手入れをして

美しい緑を残してゆきたいものですね。

 

 

記事 コミュニティビルダー協会理事 浄法寺

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