東日本大震災時の経営者の決断例
公開日:
:
最終更新日:2024/01/25
社会
今回は、日本の経営者が東日本大震災に対して
どのような対応をとったのか
についてご紹介します。
トヨタ自動車 豊田章男氏
震災当初トヨタ関係の生産拠点ではセントラル自動車宮城工場、関東自動車工業岩手工場、トヨタ自動車東北で一部設備が損壊したものの、被害は比較的軽微に済んだ。しかし販売店では全壊12店舗を含む約450店舗に被害が及び、また、港湾設備の水没による完成車両の被災は1,791台となった。
豊田章男氏は地震発生直後に緊急対策会議を開いて即座に全社対策本部を設置し、
①人命第一・救援最優先
②被災地域の早期復興
③生産復旧
という優先順位を定めた。
同時に、調達、生産など機能別の各本部に震災対策本部を置く一方、本社以外でも、名古屋、東京など各地域に対策本部を設置し、テレビ会議システムによる情報一元化の体制を構築した。
発生翌日の12日には車体メーカーおよび仕入先を含む従業員の安全確保や家族の安否確認を最優先するため、翌週初めの14日から国内のトヨタおよび車体メーカーの全工場の操業停止を決定した。
同日には仕入先など協力企業や販売店とともに緊急支援物資の輸送を開始するとともに、トヨタ社員60人による緊急支援チームを被災地に派遣した。
3月15日には調達本部と生産本部が連携して現地調査チームを派遣し、約200拠点の仕入先訪問を開始した。自動車業界では、地震発生直後に日本自動車工業会の会員各社が被災状況に関する情報を補完・共有する異例の体制も整えた。
こうした調査が進むにつれて、部品・資材産業の被害が甚大かつ広域に及び、サプライチェーン(部品供給網)が寸断状況にある実態が明らかになっていった。2次以降のサプライヤーを含むトヨタの仕入先の被災状況は659拠点と、阪神・淡路大震災(1995年)での13拠点をはるかに上回る規模と判明した。
トヨタが調達に支障を来すのは1,260品目で、グローバル生産車両の8割に影響を及ぼすと想定された。仕入先の復旧や他工場への生産移管が急務という深刻な実態が明らかになったのである。
これらの品目については、ただちに被災先や生産上の不具合状況、在庫日数などがリストアップされた。このうち500品目については早急に手を打つ必要があり、調達、技術、生技、生産の各本部と当該被災企業だけでなく、他の仕入先による支援も得た対策立案と復旧作業が始まった。被災地での復旧が困難な場合は同業種仕入先の協力による代替品の開発や生産準備も進められた。
豊田章男社長は3月27日から2日間、まず宮城県を訪問してセントラル自動車や仕入先、販売店などの現場を視察し、関係者を激励した。引き続き、岩手、福島、茨城各県にも赴いた。
この間、豊田社長は
「工場では、機械や設備の音が響き渡るなか、メンバー全員が明るく声をかけながら、モノづくりに励んでいる。販売店では、『いらっしゃいませ』というお客様を迎えるスタッフの元気な挨拶が聞こえる。こうした日常を1日も早く取り戻すことが、被災された皆さま、および地域の『明日への希望』につながると信じて、復興に向けた努力を続けてまいります」と、早期復興への強い決意を表明した。
同月22日には豊田社長と新美篤志副社長が東京で記者会見し、想定可能な範囲で、生産回復の道筋を示した。国内工場は7月から、海外工場は8月から稼働率の引き上げが可能となるものの、全車種・全ラインでの完全正常化は11月から12月までを要すという内容であった。その後、5月11日の2010年度(2011年3月期)決算発表時には、国内外工場の稼働率引き上げは7~8月から6月に前倒しが可能になったことを明らかにした。
大震災後の一連の復旧においては、現地現物、即断・即決・即実行という基本方針で、仕入先や販売店、海外事業体も含むオールトヨタがチームワークを遺憾なく発揮し、当初は11~12月とみられていた正常化へのピッチを速める原動力となった。
また、茨城県内の主力工場の被災により自動車各社のサプライチェーンのネックとなっていたマイコンメーカーのルネサスエレクトロニクスの復旧に際しては、自動車業界が一丸となって支援し、9月と見られていた生産の一部再開を6月に前倒しするという成果ももたらした。大震災後の2011年7月には「東北」を、中部、九州に次ぐ「第3の国内生産拠点」との位置づけを明確にし、モノづくり活動の強化を通じて復興支援に取り組む方針を打ち出した。
豊田氏は危機的状況において悩みながらも
リーダーシップを発揮し、
社員と取引先と社会への貢献をと
考えたのだそうです。
トヨタという大きな会社だからこそできること
逆に小さな会社だからできること
それぞれに出来ることがあるのではないでしょうか。
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