国産材利用 松について
今回は、日本では古くから建築材として利用されている「松」についてのお話です。
松というと庭木としても日本人にとっては身近な存在ですよね。
語源としては「(神を)待つ」「祀る」あたりが有力で、
他の木が育たないような岩場などでも大きくなったり、
冬でも青々とした葉を茂らせているところから
「不老長寿」と結びついたとのことです。
道理でお正月に門松として飾ったり、神棚に松の葉を飾る地域があるわけですね。
おめでたい樹種として「松竹梅」としても有名です。
ちなみに西欧ではクリスマスにもみの木を使いますが、入手の難しい北欧、
イギリス、アメリカ南部、オセアニアなどではマツ属の樹木を使うこともあるのだそうです。
日本ではたくさんの松があって、有名なものではアカマツ・クロマツ・カラマツ・エゾマツあたりが
建築材として使われています。他に五葉松などがありますが、どちらかというと盆栽など観賞用です。
杉や桧に比べると腐りに弱いところがあるので、土台や柱には使わずもっぱら梁材などに使われていますね。
現在の住宅では北米産の「米松」が良く使われています。
それに対して国産の松は「地松」と呼ばれています。
構造材以外にも硬くて丈夫で艶が良いので、階段材・地板・床材などに使われています。。
天然の地松が中心となるため、次第に希少性が出ています。
気候風土や土壌に恵まれてマツ独自の強く硬く色艶の良い特色が色濃く出ています。
階段材・敷居などに用いられる素材としては一番使われているのではないでしょうか。
黄白色の部分、いわゆる辺材(しらた)の割合が大きく、心材(あかみ)は淡褐色ないし黄褐色で樹脂(ヤニ)が多いです。
ねばねばしたボンドのようなマツヤニ(松脂)が通っている部分ですが乾燥が不十分だとこれが表に出て塗装ムラのように垂れてくることがあります。
このマツヤニ(松脂)は採取して、塗料や溶剤などに使用します。
ちなみに私の趣味である弓道にも松脂を火で炒って粉にしたもの(ぎり粉)を、弓がけという手袋の指先につけて滑り止めにして弓を引くようになっています。
自分で作る人もいますが、においがすごいので私は弓具店で買ってます。
他に大きな生節(いきぶし)もよくあり、節というと落ちるから駄目と思われがちですが生節はまわりとしっかりくっついているので直ぐに落ちることはありません。
秋の味覚として知られるマツタケ(松茸)が取れるのはアカマツ林です。
古来、中国では「仙人が松葉を常食していた」と伝えられていて、
山伏は松葉を食べて険しい山岳を旅したとされていて、中国の漢方古書では、
「毛髪を生じ、五臓を安んじ、中(胃)を守り、天然を延べる(長寿のこと)」
「強壮になり、歯を固め、耳目をよくす」
という記述もあるようです。
ただ、日本では近年マツ枯れ病(マツクイムシ被害)が猛威を振るい、近年は希少価値が増してきました。
アカマツは、隣地が山火事や伐採、溶岩流などによって裸山になったときでも、最も始めに根を下ろすほど逞しい生命力を持っています。
山口県は森林面積のおよそ三分の一はアカマツだそうで、どんなに痩せた土地でもよく育つこの木を、「根性の木」として県の木に選んだといわれています。
確かに東日本大震災でも陸前高田市では周りが津波で壊滅状態の中「奇跡の一本松」が残って復興のシンボルになりました。
わたしもこの粘り強さを見習いたいです。
記事 コミュニティービルダー協会 浄法寺亘
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