後継者問題で七転八倒　初代ローマ皇帝アウグストゥス

日本でも皇位継承に関しては色々と議論がありますが

工務店の社長さんも跡継ぎをどうするか？いわゆる

事業承継問題は頭の痛い方も少なくありません。

 

そこで今回、皆さんと同じように

後継者問題で頭を悩ませた皇帝

のことをご紹介しようと思います。

 

その人は、皇帝・オブ・皇帝ともいえる

初代ローマ帝国皇帝のアウグストゥス

さんです。

 

 

こちらです！

 

ちょっと世界史をかじった人なら名前ぐらいは知っていると

思います。

『ブルータスお前もか！』

で有名なあの英雄カエサル（シーザー）の養子・後継者です。

 

８月の英語名「オーガスト（August）」は彼の名前からきています。

僕も８月生まれなのでなんとなく好意を持っていますが

なかなかの苦労人なんですね

なお、「アウグストゥス」は皇帝になる時にもらった称号なので

子どもの頃の名前や青年期の名前はあるんですが、分かりやすく

全部「アウグストゥス」でいきます。

 

アウグストゥスは紀元前６３年にカエサルの姪の子として生まれました。

５才のときに実父と死別。母親はその後再婚するんですが

この継父がいいひとだったらしく、実の子供と同じように

可愛がってもらったみたいです。

 

そんなこんなで英雄カエサルは４回も結婚し、愛人も多数居たのですが

子宝にはあまり恵まれませんでした（秀吉みたいですね）ので

アウグストゥスは後継者の一人として目されるようになります。

 

１７歳になったアウグストゥスは尊敬するカエサルのヒスパニア

（いまのスペインのあたり）遠征に従軍することになりますが、

なんと出発直前に

病気で倒れてしまいます。

仮病か？と疑う人もいるでしょうが

彼は基本的に病弱でいつも

・腹巻

・えりまき

・毛の帽子

・薬

を持ち歩いていたとのことなので単に

間が悪い

だけだったと思います。

アウグストゥスが寝ている間に、すでに大方の勝利は確定

したのですが、アウグストゥスは急いでヒスパニアに向かいます。

このあたり関ヶ原遅参の徳川秀忠を思わせますが、このときは

跡継ぎ確定でも大軍団を率いていたわけでもないので特に

問題はありませんでした。

しかし、なんと途中で

船が難破⇒敵の勢力のど真ん中に漂流

 

という信じられないような間の悪さを発揮します。

ただ、ここで彼は生き残ったわずかな兵を掌握して敵陣を横断して

生き延びました。（なんか島津の退き口みたいですね）この出来事は

カエサルの心に強いインパクトを与えたようで、後継者としての

株がぐんと上がったと言う説があるくらいです。

 

というわけで、カエサルから将来のパルティア（今のイラン・イラクあたり）攻めの

司令官として抜擢されます。しかも、同い年で軍才のあったアグリッパ君を

紹介され一緒にギリシャに留学することになりました。

カエサルが後ろに構えてくれて、優秀な友人ができて順風満帆…のはずが

ここでアウグストゥスの間の悪さが発揮されます。

なんと、留学して４ヵ月後

 

カエサル暗殺。

 

有名な「ブルータスお前もか」ですね。

アウグストゥスは急いでローマに向かいます。そして、イタリア南部に

たどり着いたあたりで、後継者に指名されていたことを知ります。

時にアウグストゥス１８歳、歴史の表舞台に出ることになりました。

ここでカエサル恩顧の側近や武将、退役兵などをまとめます。

さて、後継者としてやらなければならないことは

・暗殺した犯人を倒す

・カエサルの葬儀を執り行う

の２点なのですが、

この時点で暗殺の首謀者はカエサルのライバルのアントニウスと元老院（議会）

によって逃がされてしまっていました。残念。

仕方がないので葬儀を執り行います。ここでカエサルの遺言を果たさないと

いけないのですが、その遺言の中に

・配下の軍団への給与支払い

・ローマ市民への一時金支給

があるのですが、先ほどのアントニウスが

公的遺産を着服

していたので、なんだかんだ理由をつけてお金をもらえません。

仕方がないので方々に借金をして何とか支払いを行いました。

でも、結果としてこのことを知った市民から同情を買うことができ

アントニウスは人気を落としました。

 

さて、これでローマの有力者のひとりとなったアウグストゥスは

アントニウスと対立しながらも手を組んだりして地道に権力を得ていきます。

もちろん、その途上でカエサルを暗殺した連中に復讐することも忘れませんでした。

元老院議員３００人、騎士身分２０００人が殺害、財産没収されたそうです。

もちろん、それら全てが犯人だったわけではなく、暗殺者逮捕を名目に

敵対していた派閥を打倒したのです。

 

その後なんだかんだで、敵対者を倒しアントニウスとクレオパトラを倒し

ローマ第一の権力者になります。

そして、皇帝に即位するかとおもいきや手にしていた戦時の非常大権を返上します。

そして元老院から全権を任されるように仕向けますが、一度では受けずに

数度辞退した上で承諾しました。

（このあたりまるで中国の歴史との共通点を見るようですが）

ともあれ晴れてローマ帝国初代皇帝になったわけです。

アウグストゥス３６才でした。

・

・

後継者は？

時は過ぎ、アウグストゥス権力は磐石になったのですが、

こどもが一人しかいません。しかも女の子でした。

名前はユリアといいます。

まず、姉のオクタヴィアの息子（つまり甥）のマルケッスス（17）に

ユリア（14）を嫁がせます。

ところがこのマルケッススが２年後に病気で急逝。

残念ですが仕方ありません。

（挫折×１）

その２年後、結婚していた盟友のアグリッパ（41）を離婚させてユリア（16）を嫁がせます。

 

この結婚はよかったようで５人の子供（男３人・女２人）を授かります。

 

長男：ガイウス…３歳でアウグストゥスの養子に。

 

次男：ルキウス…０歳でアウグストゥスの養子に。

 

この２人を立派にするためにアウグストゥスは自ら執政官として鍛えますが

厳しすぎたのか

まずルキウスが１５歳で病没

（挫折×２）

そして本命ガイウスが２３歳で戦死

（挫折×３）

と報われません。

 

そして

三男：アグリッパの出番となります

…ガイウスが亡くなった時点でアウグストゥスの養子になるも

素行不良で追放。

（挫折×４）

…これで自分の血を引く直系の男子は居なくなってしまいました。

 

では、女の子はどうかというとこれがまた

長女：小ユリア…陰謀を企てたとして追放。

（挫折×５）

次女：アグリッピナ…国家反逆罪で追放。

（挫折×6）

と脱落していきます。

一説によると、三男アグリッパ以下の追放は後妻のウィリアが

自分の連れ子のティベリウスを皇帝にするがための陰謀だった

という説があります。

 

ということで、3番目の妻のリウィアの連れ子

義理の息子：ティベリウスの出番です。

このティベリウスには奥さんがいたのですがまた離婚させてユリアと結婚させます。

二人の子供も生まれるのですが小さいうちに亡くなってしまいました。

（挫折×7）

ユリアとも不仲になってしまい、このショックかティベリウスはローマを離れロドス島に

引きこもってしまいます。※優秀な軍人でしたが。

 

このティベリウスのに甥のゲルマニクス

を養子縁組させて

ティベリウスの次の皇帝継承者としました。

もはや何がなんだかよくわかりません。

 

結局、アウグストゥスが亡くなった後は

血の繋がらないティベリウスが皇帝となり、

ティベリウスの次はゲルマニクスと次女アグリッピナの

子供のカリギュラが皇帝となり、一応は血筋が繋がりました。

 

 

結論

 

承継問題はローマ帝国をつくりあげたアウグストゥスでも大変だったのだから

苦労するのもしかたない！

 

ということですね。

 

記事　コミュニティビルダー協会　理事　浄法寺