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コミュニティビルダー協会コラム ~国交省の断熱改修調査から~

公開日: : 住宅営業, 工務店

1月13日に国土交通省から

住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する調査の中間報告
~スマートウェルネス住宅等推進事業の調査の実施状況について~

という調査、つまり

「住宅の断熱改修をした人(施主)の健康状態の変化」の調査

の中間報告が出ていたのでまとめてみました。

 

まず、調査全体の概要です。平成29年まで調査を行うので、今回はその中間報告ということです。

1.事業期間  :平成26~29年度(4年間)(予定)
2.検証内容  :断熱改修を予定する全国約1,800軒の住宅および居住者約3,600人を対象として、改修の前後における、居住者の血圧や生活習慣、身体活動量など健康への影響を検証する
3.実施事業者 :(一社)日本サステナブル建築協会(平成26~28年度の実施事業者)
(全国各地の医学・建築環境工学の学識者からなる委員会(スマートウェルネス住宅等推進調査委員会)を設置)
※今回の中間報告は平成27年度末までの成果に基づき得られた知見等に関する内容となります

中間報告の概要

①断熱改修を予定する住宅について、平成27年度までに2,759人の改修前調査を実施するとともに、165人の改修後調査を実施した。
②得られたデータに基づき検証を行ったところ、住宅室内環境と血圧など健康関連事象との関連が確認された。

 

得られた成果について

その1「冬季において起床時室温が低いほど、血圧が高くなる傾向がみられた。また、高齢者ほど室温低下による血圧の 上昇が大きくなるため、室温が低くならないように注意することが大切。

※なんか当たり前の話が出てしまった感じですが、ここでデータがあるのでちょっと掲載します。

FireShot Capture 187 - - http___www.mlit.go.jp_common_001158517.pdf

これを前提として断熱改修の有効性を問おう、ということでしょう。

本調査で得られた1,753人の有効 サンプルを用いた分析の結果、年齢、 性別、肥満、喫煙、塩分、飲酒、降 圧剤服用などの要因について既往研 究と同様の傾向であることを確認し た。さらに、それらの諸要因を考慮 した上で、冬季における室温が10℃ 低い朝には7.3mmHg高くなること、 年齢が10歳高齢者では8.8mmHg高 くなり、高齢者ほど住宅の室温低下 に注意が必要であることがわかった。

 

その2「高齢者ほど室温低下による血圧の上昇が大きいことが確 認された。

FireShot Capture 196 - - http___www.mlit.go.jp_common_001158517.pdf

※60歳を超えるとリスクがぐんと上がりますね。あとは前の成果とかぶる内容なので、飛ばします。

 

その3「断熱改修によって室温が上昇し、それに伴い居住者 の血圧も低下する傾向が確認された。

※やっと本題に入りました。

FireShot Capture 189 - - http___www.mlit.go.jp_common_001158517.pdf

「断熱改修後に室温が平均3.3℃上昇(10℃以上上昇した住宅もあ り)した。一方、室温が平均1.6℃低下した例もあり、暖房の適 切な使用を呼びかけることも大切と考えられる。」

※断熱改修といっても家全体のケースもあれば1部屋だけというケースもあるかと思います。それを考えると妥当な数字かもしれません。施工業者側が住んだ後にどのように暖房すればよいかなどのアドバイス(例えば18度から下がらないようにエアコン設定してくださいね、など)がなければバラツキが出るのもしかたないですね。

 

その4「居間または脱衣所の平均室温が18℃未満の住宅では、入浴事故リスクが高いとされる熱め入浴をする確率が有意に高い。

※これは面白いですね。なるほど、という感じです。寒い部屋にいる家庭ほど熱めのお風呂に入る、ということですよね。しかも、その熱い状態から寒い部屋にもどるわけで、これはヒートショックが起きるのも必然です。

FireShot Capture 190 - - http___www.mlit.go.jp_common_001158517.pdf

FireShot Capture 192 - - http___www.mlit.go.jp_common_001158517.pdf

FireShot Capture 193 - - http___www.mlit.go.jp_common_001158517.pdf

 

本調査で得られた2,759名の有効サンプルを用いた分析の結果、 居間または脱衣所の平均室温が18℃未満の住宅では、入浴事故のリ スクが高まるとされる42℃以上の熱めの入浴、15分以上の長めの 入浴をする人が有意に多い(右上、右下の棒グラフ)。 また、年齢、性別、等価所得などの要因を調整した上で、居間ま たは脱衣所の平均室温が18℃未満の住宅では、入浴事故のリスクが 高まるとされる42℃以上の熱めの入浴をする確率が1.8倍高い。

 

最後に参考資料として(結構面白いです)

 

・欧州における冬季の 死亡増加率はフィンラ ンドなどの寒冷な国で は10%であるのに対 してポルトガル、イギ リス、イタリアなど比 較的温暖な国では 20%前後となってお り、断熱性能が良い省 エネ住宅の普及が遅 れ、冬季室温が低い住 宅が多いことが原因と されている。

FireShot Capture 194 - - http___www.mlit.go.jp_common_001158517.pdf

FireShot Capture 195 - - http___www.mlit.go.jp_common_001158517.pdf

・18℃未満で血圧上 昇・循環器疾患の恐れ があり、16℃未満で 呼吸器系疾患への抵抗 力が低下するとして、 英国では冬季の住宅内 許容室温を18℃と定 めている※。

・日本についても欧州 と同様の傾向が認めら れ、断熱性能の良い省 エネ住宅が普及してい る北海道などの冬季死 亡増加率が少なくなっている。

※これはなんとなく建築業者は気づいている事柄ではないでしょうか。断熱のしっかりいている北海道や北東北よりも中途半端に暖かい地方のほうが寒い家に住んでいるケースがほとんどですからね。 

 

 

まとめ

1.室内の温度の低下は血圧も上がるし、病気になりやすい。

※特に60歳以上は急激に上昇するので注意しましょう。

2.部屋が寒いからって熱い風呂に入るのはやめましょう。

※特に42度以上のお風呂は上がったあとの事故リスクが2倍弱高いです。

3.業者は断熱改修後の温度調整の仕方もよく話しましょう。

※そのことで施主さんの健康維持に役立ち喜ばれるはずです。

 

また、最終調査結果が出た時には続きをまとめたいと思います。

 

 

参考ページ→国交省HP内該当ページ

記事:コミュニティビルダー協会理事 浄法寺

 

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