コミュニティビルダー協会コラム ~耐震診断に悲鳴!でも耐震だけでいいの?~
コミュニティビルダー協会コラム
~耐震診断に悲鳴!でも耐震だけでいいの?~
九州で耐震診断が増えているというニュースと先日木耐協から発表された内容について
ざっくりと紹介したいと思います。
まず、毎日新聞の記事で
「九州で危機感 住宅の耐震診断急増 「予算、診断士不足」自治体悲鳴」
という内容です。ちなみに昨年と今年の診断の申込は以下のとおりです。
熊本県では今年度(9/5現在)1616件で既に昨年の10倍。
なお申し込みの9割は熊本市に集中しており八代市でも昨年2件に対して今年は既に140件だそうです。
次に被害の大きかった大分県は昨年が36件に対して8月末時点で139件で昨年の3倍、
鹿児島県が昨年27件に対して54件で昨年の2倍
宮崎県が昨年121件に対して245件で昨年の2倍
長崎県が昨年55件に対して108件で昨年の2倍
福岡県が昨年200件に対して307件で昨年の1.5倍
佐賀県が昨年0件に対して3件※県として耐震診断などの補助金を補正予算として検討中。
という結果です。
特に熊本市では予算が136戸分だったので補正予算を組んで530戸分を確保しました。ただ、さきほどの数字を見てもわかるとおり1000戸分が足りず、6月時点で募集を締め切ったそうです。市としては『予算を増やしても診断士が足りない。地震の被害審査もまだ続いているが他県に頼むことも検討しているが難しいだろう』とのこと。熊本県内では45市町村のうち制度を設けているのは26市町村で約4割の市町村には精度そのものがありません。
なお耐震診断への補助は木造戸建ての場合1981年5月以前(旧耐震基準)で建てられた住宅のみです。
ここで、先日「日経アーキテクチュア」に掲載されていた記事ですが、
『1981年~2000年住宅の8割超が大地震で倒壊の恐れ』
というものです。
これは、木耐協(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合)が8月31日に出した調査結果を元ににしたものですがグラフにすると
となります。つまり「倒壊する可能性がある」と診断された住宅の比率(22.90%)と「倒壊する可能性が高い」と診断された住宅の比率(61.59%)を合わせた結果です。
調査のベースとなっているのは基本的に住んでいる人が耐震診断を希望している=耐震性に不安がある建物なので多少数値が多くなっているとは思いますが…。としても結構高い数値ですよね。
なお、今回の熊本地震での調査(日本建築学界)では
2000年以降にたった家は倒壊が2.9%だったのに対し1981年~2000年の家は倒壊が9.1%、大破まであわせると18.9%と20%近い数字になります。
「新耐震基準」と呼ばれてはいますが、2000年以降の住宅と比べるとだいぶ安全度が違うことがわかります。
国の基準としている「耐震」ですが、この頃の「余震の多い地震」に対応するには耐震性だけでは難しいのではないでしょうか。
参考リンク⇒毎日新聞
参考リンク⇒日経アーキテクチュア
記事 コミュニティビルダー協会理事 浄法寺
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