吹奏楽コンクール置賜地区大会

息づまるような
緊張感と高揚感のなか

君たちが放った
最後の音が

すっ、と
空間にとけた

一瞬の静寂のあと
君たちは拍手に包まれる

誇らしげに
安堵したように


大会直前の深夜
しかめっ面でミサンガを編む男子部員

何やらビミョーな光景だったけど

綾なす糸はきっと
何か貴いものを織り込んでいく

（だけどさ、もっと早くにやってよね）


結果発表のあと
うかつにも
ほおがゆるんだまま出口に向かって

人の波が散って視界が開けた瞬間、
私はすこし慌てた

そうだ、いつもここには
この光景があった

肩を落とし、うつむく生徒たちの一群
あわてて目をそらしてしまった


置賜地区の「定期演奏会」と称し
全国コンクール地区予選を兼ねる、という在りかたは、
その文化と土壌は、
たびたび賞賛されるけれど

君たちにとっては

地区突破を果たし
次のステージに立てるかどうかの
勝負のとき

優劣はついてしまうけど

湧き上がる、
その感情についた名前は真逆だけど

それを糧と呼ぶならば、
それは大きく違わない

君たちの勝負はまだまだこれからだから


今日のステージに立った君たち全員に

一音入魂
素敵な演奏をありがとう

スッタフ　O