O様のこだわりは、3m以上の天井高を持つ2階リビング。
そのためにコンクリート基礎の下に床レベルを落とした1階、
屋根勾配を利用しスキップフロア式に広さを確保した3階は、
ともに湿気と熱気を排除する外断熱ありきの空間づくり。
「1階は将来、親が同居することも想定して用途を決めないゲストルーム的にしつらえました。
3階もいずれは子供の個室になると思いますが、今はまだ小さいのでほとんど遊び場のようなもの。
1階・3階ともに2分割できる設計にはなっています。
実際に使用している空間は半分以下ですね(笑)」(ご主人)
まだ家族形態もライフスタイルも固まっていないヤングファミリー。
家づくりのポイントはどうつくり込むか、ではなく、
ともすれば持て余しがちなユーティリティ空間をいかに維持し、使いこなすかにあるのかも知れない。
実はここにも、外断熱によるメリットがあったという。
「2階にはエアコンをつけていないんです。
夏場は3階のエアコンだけ24時間の自動運転にしておけば、家全体が快適な温度に保たれる。
光熱費も驚くほど安く、これなら使っていないスペースがあっても気にならないと思いました」
そう、ユーティリティスペースの活用は単に、空間的な意味だけではない。
特にT邸のように間仕切りの少ない現代風のシンプルモダン住宅では、
使われていないスペースにかかるランニングコストも考慮しておくべきだろう。
住み心地と経済性には敏感な主婦の視点を持つ奥様も、
「近所の奥さんたちがこの家に来ると必ず、いつも気温が一定で湿気がないことを不思議がるんです」
と、至極納得のご様子。未完成でも快適さだけは譲れない。
それは若い家族だからこそ必要な、成長に合わせて「進化する家」の大原則だ。
ギャラリー
建築地: 東京都町田市
テーマ:
完工日: 2006年04月