都市住宅においてプライバシーを確保しながらいかに自然と向き合うかを考えた場合、2階リビングは有効な手段のひとつです。ただし、2階に劇的な空間がなければ1階の個室にこもりがちになり家族の接点は失われます。よって、2階リビングを地面からどう繋げるかが今回の大きなテーマとなりました。
玄関戸を開くと目の前に赤く浮かび上がる階段が出迎えてくれて、玄関ホール高さ7.7mの吹抜けからのトップライト、ロフトからの光、2階リビング米松格子戸から降り注ぐ光によって2階へといざなってくれる縦の動線を強調しました。照明を含めてさまざまな光が時間によって豊かな表情を見せてくれます。
2階リビングはデッキテラスと一体化させて、最高高さ3.7m斜め天井、統一された造作家具によってより広く感じさせた家族の集まる空間になっています。ロフトに上る螺旋階段は美しい形状で部屋のオブジェでもあり上り下りも楽しくなります。2階デッキテラスと屋上テラスは、光が降り注ぎ、風が通り抜け、富士山を臨める心地良さです。また、それらを生かすディテールとして、目透かし天井、目透かし巾木、シンプルな造作家具などによりすっきりと収めました。素足で歩きたい南洋材無垢のフローリングが木のやさしさを伝えてくれます。シャープでありながらやさしい空間ができました。
【お客様の声】
旦那様は「星が見える洗面所トップライト」「ヒバの香りがするお風呂」「ビールを片手に屋上テラス」でくつろぎ、子どもたちは「ロフトでひなたぼっこ」「螺旋階段の上り下り」で遊び、奥様は「ダイニングのピクチャーウィンドウ」から桜の木を眺めながら「ステンレスのシャープなオープンキッチン」で料理を作るのが楽しみになっています。ローコストでありながら空間の多様性を楽しめる作品となりました。
ギャラリー
建築地: 東京都小平市
テーマ:
完工日: 2003年03月